地代の値上げは可能か
(更新:2020年4月20日)
- 契約地代が不当に安いと感じている
- 地代の値上げをしたいが可能なのか知りたい
- 借地人が同意しない場合にどうすればいいか知りたい
このページはそんな方へ向けて書いています。
地代の安さに苦しむ地主は多い!?
長い間地代の変更をしていないため、契約地代が安いと感じている地主の方もいらっしゃることでしょう。
今回のテーマは、地代の値上げについてです。
契約の観点から地代の値上げを考える
地代の値上げをすることはできるのでしょうか?
この疑問にお答えします。
以下、各項目を説明して参ります。
まず賃貸借契約書に増額禁止特約の記載があるか確認しよう
通常、地主は借地権者に対して地代の増額を請求することができます。
一方で借地人も地主に対して地代の減額請求をすることができます。
その根拠は下記の通りです。
借地借家法第11条(地代等増減請求権)第1項
地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
まとめると、下記の条件が変動した場合に増減請求をすることができます
地代の増減を判断するための指標となる項目
- 租税その他の公課(固定資産税)
- 土地の価格
- 経済事情(給与所得や物価)
- 近傍類似の土地の地代等(近隣の似た土地の地代)
しかしながら、同条同項に「(前略)ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」とありますので、特約で一定の期間において増減の特約を定めている場合にはその限りではありません。
余談かもしれませんが、「一定の期間」と限定した場合にこの特約は有効という意味があります。
地代の増減は双方に認められた権利ですので、「今後ずっと増減できない」という特約は無効と判断される可能性が高いと思われます。
地代の増額を要求することはできる
地主と借地権者の双方が地代を増減を相手に求めることができることは分かりました。
しかしながら、「増額の請求することができる」ということと「増額することができる」ということは異なります。
地代の増額を決定事項とするためには、借地権者の同意が必要になります。
地代の値上げに応じてもらうためには、地主が借地権者に理解できるように値上げの根拠を相手に示し理解してもらう必要があります。
一方で、相手が値上げに理解を示さない場合や経済的事情を理由に断る場合には、話し合いで解決することは難しいため次の段階に進む必要が出てきます。
借地人が応じない場合は、調停か裁判になる
話し合いをした結果、借地権者が地代の値上げに応じない場合は、調停か裁判をする必要が出てきます。
当事者間で問題を解決できない場合は、裁判所に結論を出してもらうしか解決する方法がないためです。
「調停」は、地主が裁判所に申し立てをすることで、弁護士や不動産鑑定士といった調停委員に間に入ってもらい、再度意見交換を行い妥協点を探します。
調停が成立すれば、双方がその取り決めを守ることになります。
調停が成立しなかった場合、地主に残された手段は訴訟を提起して裁判をすることです。
裁判をすれば必ず結論が出ますが、時間と費用が少なからず掛かりますので負担は大きくなるでしょう。
増額する地代の額が小さければ、もしかしたら割に合わない結果となるかもしれません。
調停で解決しない場合は、裁判をするのかどうかよく検討することをお勧めします。
以上が、地代の値上げが可能かどうかのお話でした。
参考になれば幸いです。
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