契約書に記載の面積と実測面積が違う場合
(更新:2020年2月27日)
「借地契約書に記載されている面積と実際の測量面積が違っている」
「契約面積の誤差で借地人とトラブルになっている」
「面積について多少の誤差はあってもいいのか知りたい」
このページはそんな方へ向けて書いています。
借地契約書の記述と異なる点が出てくる
借地契約の開始から、契約内容の見直しをせずに更新を繰り返しているケースは多いのではないでしょうか。
そのため、借地契約書に記載されている事項が現実のものとずれてしまうこともあるかと思います。
今回は、契約面積についてお話しします。
借地契約がなされた何十年も前の時代に比べると、現在の測量技術は大幅に向上しています。
正確に測ることができるようになったため、昔作られた契約書上の面積とずれが生じる場合があります。
また、市区町村が管理する道路と所有地との境界確定を行うことにより、境界点が動く場合もあります。
そのため、借地の契約面積が現在の契約面積と異なることは少なくありません。
このような経緯を理解できれば、大きなトラブルになることはないと思えます。
気をつけないとトラブルに発展することもある
このトラブルになった事例を紹介します。
トラブルになったケースでは、地主と借地人の関係が良好ではありませんでした。
以前より越境の問題など小さなトラブルを抱えていましたが、ある機会から面積の差異が争いに発展しました。
借地人は地元の不動産会社を代理人にして、契約の見直しを要求しました。
地主は面積の差異が小さかった(1%未満)ため、覚書で合意をしておき、契約更新のタイミングで更新契約書に正しい面積を記載することを伝えましたが、借地人は借地面積の拡大を要求しました。
借地人の隣地も地主の所有地であったため、借地を広くしたいと考えたためです。
この要求に地主が合意をしなかったため、大きなトラブルになり双方弁護士を代理人として立てる騒動に発展しました。
このトラブルの要点
- 借地人の契約面積と実測面積の差異が出た
- 数年前の区が行った道路境界確定で境界点が借地の内側に移動した
- 面積の差異の割合は1%未満(面積にして1平米未満)
- 借地人は、契約面積の拡大を要求
- 地主は、誤差の範囲と主張
- 代理人同士で話し合いをし、借地人が譲歩する形で決着
このトラブルの結末
地主の代理人の弁護士と借地人の代理人の弁護士で話しをした結果、土地賃貸借契約書は30年以上前のものであり(契約の始期は不明)、測量技術の発達によって多少の誤差が生じるのはやむを得ず、今回の面積差異は誤差の範囲内であるという決着になりました。
途中、借地人は契約面積の減少に応じて月額の地代を下げる交渉をしたいと訴えましたが、その主張は引き下げることにしたようでした。
このケースでは借地人の主張は通らず、地主の言い分が認められました。
まとめ
このケースでは多少の面積の差異は誤差の範囲とすることで決着することになりました。
裁判になる前に合意することができたのは幸いでした。
トラブル回避の観点から考えると、契約書を見直すタイミングがあれば実態に合わせておくことも大切かもしれません。
余談ですが、このケースでは借地人が意固地になっていたように見受けられました。
借地人は高齢の方で議論がかみ合うことなく、借地人側の弁護士も苦労している様子でした。
このようにトラブルに発展する場合もありますので、その際は代理人に入ってもらうのが良いかもしれません。
以上が、契約面積と実測面積に差異があり問題になったケースのご紹介でした。
参考になれば幸いです。
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